今日もビショップ　Brady　PENDLE

『源氏物語』には、色にまつわるシーンがいくつも登場し、80あまりもの異なる色の名が出てくるそうだ。とある場面では、主人公の光源氏が最愛の女性である紫の上を含め、ゆかりある女性たちにふさわしい正月用の衣装を手配する場面がある。女性たちはその色に心を揺り動かされ、それぞれ十人十色の心情を思い描いていく。そんな描写から当時の色における重要度がヒシヒシと伝わるのだ。日本独自の豊かな感受性がひとつの色において豊富な幅を生んできたのである。今季の〈Brady〉では、軽やかな色を纏ったモデル「PENDLE」がラインナップされている。ボディとハンドルを切り替えた配色は実にキャッチー。ライトアウターや我が子のおもちゃなどを持ち運ぶのに十分な容量、ウェビング織の屈強なストラップ、表面へ加工を加えツイル時のポリウレタンシートを挟み込んだ3層構造でお馴染みのDRILL DROP生地は、相変わらずの優れた防水性、防汚性を発揮する。類稀なる質実剛健っぷりはさすが150年近くの歴史を誇る英国の名門。とはいえその姿はどこか軽やかで、日常を豊かに彩ってくれる。